アマルティア・センの『集合的選択と社会的厚生』を開く

II.読解のポイントを探る 【P.16 脚注L.1】

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検討項目

位置 検討する部分 種別 訂正案, コメント
P.16 脚注L.1 「部分的に順序づけられたシステム」について Y3 「半順序システム」について
(P.14の訳文に合わせるためです。)

関連項目

位置 検討する部分 種別 訂正案, コメント
P.16 脚注L.1 (脚注4について) X (→詳細



  • 脚注の該当部分は,原文では "partially ordered sysmtems"となっています。
  • 1*1の最後の表(原文P.9, 訳文P.14)では,「本書で使われる名称」の上から3段目に"partial ordering"の表現があり,これが「半順序」と訳されています。
  • そこで両者の表現は類似しており,「半順序システム」と訳す方法が考えられます。もちろん,別書籍であるBirkhoff(1940)における表現ですので注意を要しますが,(以下の理由から)結論としては「半順序システム」の表現でよいかと思われます。
  • 原文の Birkhoss(1940)〔Lattice Theory〕のChapter1の冒頭(P.5)において,"partially ordered system"は次のように定義されています。

    By a "partially ordered system," is meant a system X in which a relation x≧y (read "x includes y") is defined, which satisfies

    • P1: For all x, x≧x.
    • P2: IF x ≧y and y≧x, then x=y.
    • P3: IF x ≧y and y≧z, then x≧z.

    ※ここで"is meant a system X"は倒置

    本訳書のP.12の二項関係の説明から,P1は反射性,P2は反対称性,P3は推移性に対応する概念と確認できます。よって,本訳書のP.14の表の第3行から,Birkhoffの"partially ordered system"は本訳書における「半順序」概念に基づくシステムと位置づけられるでしょう。





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[2013年7月26日 初版をアップ](最終アップデート:2013年7月27日)


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