アマルティア・センの『集合的選択と社会的厚生』を開く
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 ようこそ,本ホームページへ。こちらにこられた方は,Amartya Sen先生の『集合的選択と社会的厚生』に関心のある皆さんだと思います。私も愛読者の1人です。本ホームページは, この本を細かく読もうとされている方のサポートを目的にしています。

 書籍の紹介と本ホームページのコンセプト


〔本ホームページの主な内容〕

I.冒頭の段落について

 本書にはいくつか興味深い点があります。(1) 原書の冒頭段落には an abstract motherland(抽象的な母国)という表現が含まれています。(2) 予備的注意の書き出しが,Buchnan and TullockのThe Calculus of Consentの書き出しに似ています。(3) 最初のページの脚注にLefebvreのThe Coming of the French Revolutionの文献情報があります。(巻末の文献リストに入れずになぜここに書くのでしょう? ) (4) 議論の途中で唐突にパキンスタン人(p.25)とオーストラリア人(p.63)の例が現れます。(5) 本書の最後で「不純なシステム」の価値が説かれます。

 冒頭段落の意味をとらえるには,こうした点も総合的に検討するのがよいようです。

(「冒頭の段落について」の概要はこちらです。本論は右画像をクリックして下さい。)

冒頭の段落について


II.読解のポイントを探る

 本書は通常の文章の方が奥深く,時間のかかる面があります。個人的には,先に多義的でない数学面から確認していくのが判りやすいかと思います。

 つまり,まずは1*章から10*章までの数論に集中するのがお勧めです。証明を含めて,すべて理解しようする方がよいでしょう。ときどき,数論の背景を確認するような気持ちで1章から11章の通常の文面にも目を移します。また,最初から原書を準備して,訳文と合わせて検討していくのがよいと思います。

(右画像をクリックして下さい。)

読会のポイントを探る


III.資料・補論 等(準備中)






[2010年5月8日 初版をアップ](最終アップデート:2015年9月4日)

※ 本HPは,群馬大学社会情報学部教員の岩井 淳の個人ページです。お気づきの点などございましたら,iwai[at]si.gunma-u.ac.jp宛にお便り下さい。すべてのメールにはお返事できませんが,ご了解をお願い致します。


 

Welcome to This Page

母国をロマンティックに美化して歌いあげることと,社会にかんする恣意的な目的関数を最適化することとの間には,共通する何かがある.これらの行為は価値あるものであるし,確かにしばしば行われてもいる.けれどもこの本は,私が思うに,そのどちらにもかかわらないものであろう.われわれの研究の主題は,政策の目的と社会を構成する人々の選好や願望との間の関係である


(『集合的選択と社会的厚生』第1章「はじめに」1.1「予備的注意」より第1段落)