アマルティア・センの『集合的選択と社会的厚生』を開く

II.読解のポイントを探る 【P.210, L.5】

dss50.org

 

検討項目

位置 検討する部分 種別 訂正案, コメント
P.210 L.5 (補題10*bについて) X (なお,この証明は現在の英語版では少し修正されています。)

関連項目

位置 検討する部分 種別 訂正案, コメント
P.210 L.26 これらの集合すべてで,ERは成立しない.そして1種類, すなわち[1.1, 2.2, 3.3]だけがLAを満たす.これは,すべてのiにたいしてxRizとなるためである。 X 原著(1970年の初版本)で確かにそのように書かれていますが,その後,修正されています。原著の修正に合わせると, 「これらの各集合は,ERとLAが成立しない.ただし,[1.1, 2.2, 3.3]は除く.ここではすべてのiにたいしてxRizである。」となります([1.1, 2.2, 3.3]ではERも満たされる点に注意)。続く文面の中にも修正箇所があります。
→(詳細〔準備中〕)
P.211 L.15 あるΩの要素か,そのyとz,xとzそれぞれを形式的に交換したものを含んでいるはずである Y3 yとz,xとzをそれぞれ形式的に交換する点を除けば,あるΩの要素を含んでいることがわかる
(→詳細〔準備中〕)
P.211 脚注L.1 つまり Y3 例えば,
(→詳細〔準備中〕)
P.211 脚注L.3 置き換えをしたものを除けば, Y3 置き換えの点を除けば,
(→詳細〔準備中〕)



  • まず,x, y, zの間に生じうる順序が次の13種類に限られることが書かれていますが,これは良いでしょう。(7)は,「関与する個人」(P.207 定義10*1)に該当しませんので,VR(P.208 定義10*2)を議論する際には外して考えることになります。
    • (1.1) xPyPz (1.2) xPyIz (1.3) xIyPz
    • (2.1) yPzPx (2.2) yPzIx (2.3) yIzPx
    • (3.1) zPxPy (3.2) zPxIy (3.3) zIxPy
    • (4) xPzPy (5) zPyPx (6) yPxPz
    • (7) xIyIz
  • ERが成立しないとすれば,少なくとも1人,xPyPzのような個人がいることになります(x, y, zは適当に入れ替えてもよいのですが)。つまりIが含まれない個人(反対称性が成立する個人)が存在し,このような順序をチェーンと言うのでした(P.14)。
  • 「1.1と結びついてVRとLAに反するペアを作る順序が存在しない」について:
    • (1.2), (1.3), (2.2), (2.3), (3.2), (3.3)にはIが含まれています。(1.1)をこれらの1つと組み合わせた場合は,そのIの部分についてLAが成立します。例えば,(1.1)と(1.2)をペアにした場合は,yRzで一致するのでLAが成立します。
    • (2.1), (3.1), (4), (5), (6)はPだけでできています。(1.1)をこれらの1つと組み合わせた場合は,それぞれ「中間でない選択肢」を1つあげることができ,VRが成立します。例えば,(1.1)と(2.1)をペアにした場合は,(1.1)の中央がy, (2.1)の中央がzなので,「xが中間でない」という点で一致していると言え,VRが成立します。
    • 以上より,単なるペアが,VRとLAの双方に反することはないことを確認できました。(もちろん,VRとERとLAすべてに反することもありません。)
  • 「VRを成立させない,1.1を含む3順序集合が[1.1, 2.1 or 2.2 or 2.3, 3.1 or 3.2 or 3.3]で与えられるもののみである」について:
    • (1.2)を含めることはできません。(1.2)は,(1.1)と「xが中間でも最悪でもない」という点,「yが最良でない」という点,「zが最良でない」という点で一致しています。このあとで(2.2) など3つ目の要素を持ち込んでも上記のすべてを除くことはできませんので,VRが成立してしまいます。
    • (1.3)を含めることはできません。(1.3)は,(1.1)と「xが最悪でない」という点,「yが最悪でない」という点,「zが最良でも中間でもない」という点で一致しています。このあとで(3.2)など3つ目の要素を持ち込んでも上記のすべてを除くことはできませんので,VRが成立してしまいます。
    • (2.1), (2.2), (2.3)からは1つしか含めることができません。
      • まず,(1.1)と合わせて(1.2)や(1.3)を含められないように, (2.1)と合わせて(2.2)や(2.3)を含めることはできません。
      • また,(2.2)と(2.3)を共に含めることができません。(1.1), (2.2), (2.3)の3つとすれば,yが最悪でないことで一致しますので,VRが成立してしまいます。
    • (3.1), (3.2), (3.3)からも1つしか含めることができません。
      • まず,(1.1)と合わせて(1.2)や(1.3)を含められないように, (3.1)と合わせて(3.2)や(3.3)を含めることはできません。
      • また,(1.1), (3.2), (3.3)の3つとすれば,yが最良でないことで一致しますので,VRが成立してしまいます。
    • (4)を含めることはできません。(4)は,(1.1)と「xが中間でも最悪でもない」点,「yが最良でない」点,「zが最良でない」点で一致しています。このあとで(2.2)など3つ目の要素を持ち込んでもこれらのすべてを除くことはできませんので,VRが成立してしまいます。
    • (5)を含めることはできません。(5)は,(1.1)と「xが中間でない」点,「yが最良でも最悪でもない」点,「zが中間でない」点で一致しています。このあとでどのように3つ目の要素を持ち込んでも,「yが最良でも最悪でもない」点は解決しませんので,VRが成立してしまいます。
    • (6)を含めることはできません。(6)は,(1.1)と「xが最悪でない」点,「yが最悪でない」点,「zが最良でも中間でもない」点 で一致しています。のあとで(3.2)など3つ目の要素を持ち込んでもこれらのすべてを除くことはできませんので,VRが成立してしまいます。
    • 「[1.1, 2.1 or 2.2 or 2.3, 3.1 or 3.2 or 3.3]で与えられる」3順序については,x, y, zの位置が循環していることに注意すれば,VRが成立していないことを確認できると思います。
  • 「これらの各集合は,ERとLAが成立しない.ただし,[1.1, 2.2, 3.3]は除く.」について。
    • まず,ERについて考えます。(2.1), (2.3), (3.1), (3.2)のいずれかを含むケースでは,zPxが含まれているのにzPyPxになっていない問題を含むことになるため成立していません。
    • 残る[1.1, 2.2, 3.3]の場合は,ERが成立します。(2.2), (3.3)にzPxが含まれていないため問題になりません。
    • 次にLAについて考えます。まず,[1.1, 2.1, 3.1]では成立しません。これは良いでしょう。
    • [1.1, 2.1, 3.1]について,もう少し考えます。1.1はxPyPzですが,前半をxPy,後半をyPzと考えましょう。1.1, 2.1, 3.1は,それぞれ前半にだけ注目しても既に循環しています。後半のみでも循環しています。例えば,2.1を2.2にすると後半にIが加わりますが,前半の循環は残るので,LAは成立しません。LAを成立させるには,2.1と3.1の両方を置き換える以外に方法がありません。
    • そこで可能性があるのは,[1.1, 2.2, 3.3],[1.1, 2.3, 3.2]の2ケースです。
    • [1.1, 2.2, 3.3]は,全体でxRizが成り立つので,LAが成立します。
    • [1.1, 2.3, 3.2]は,1.1よりxPz,3.2よりzPy,2.3よりyPxで,循環するためLAは成立しません。
    • 以上より,[1.1, 2.2, 3.3]のときのみ,ERとLAがいずれも成立すること。他の8ケースではERとLAがいずれも成立しないことが確認できました。
  • 「Ωのどの要素も含むことなしにVRを成立させないためには,...」とありますが,現在の英語の書籍では,[1.1, 2.2, 3.3]を含めた9つの集合のうちのどの要素を含むことなしに,VRを成立させないためには...」というニュアンスに修正されています。 (この点は理解できます。[1.1, 2.2, 3.3]の他, [1.1, 1.2, 2.2, 3.3], [1.1, 1.3, 2.2, 3.3]の4順序集合もVRを成立させない(そしてI, II, III, IVを含んでいない)ためです。)このHPでは, Ωに[1.1, 2.2, 3.3]を加えた9順序からなる集合をΩ+と呼ぶことにします。

  • さて,なぜ次の4ケースのいずれかが必ず含まれるのかを確認します。
    • (I) 1.1, 1.2, 1.3, 2.3
    • (II) 1.1, 1.2, 1.3, 3.2
    • (III) 1.1, 1.2, 2.2, 2.3
    • (IV) 1.1, 1.3, 3.2, 3.3
  • 以下,(4), (5), (6)を一旦切り離して考えます。
  • (1.1)の他に,(1.2)と(1.3)を両方含む場合について
    • (1.1), (1.2), (1.3)は, xが最悪でないこと,zが最良でないことで一致しています。この点を否定しないとVRが成立してしまいます。 xを最悪とし,zを最良とすることを考えます。
    • 他の順序の選び方には,[2.1, 2.2, 2.3]のみから選ぶ場合と, [3.1, 3.2, 3.3]のみから選ぶ場合があります。
    • [2.1, 2.2, 2.3]のみから選ぶ場合,どうしても(2.3)が必要です。 (2.1)と(2.2)は,いずれか一方,あるいは両方を用いても,zが最良になりません。一方,(2.3)があれば,xは最悪となり,zが最良になり,VRが成立しません。
    • [3.1, 3.2, 3.3]のみから選ぶ場合,どうしても(3.2)が必要です。 (3.1)と(3.3)は,いずれか一方,あるいは両方を用いても,xが最悪になりません。一方,(3.2)があれば,xは最悪となり,zが最良になり,VRが成立しません。
    • 以上より,(I)と(II)のケースが見出されました。
    • なお,4つ目として(5)を取ると,xが最良でなく,zが最悪でないことになり,VRが成立しません。ですが,(5)と(1.2)と(1.3)の組み合わせは,x, y, zを入れ替えればもともとΩ+の9ケースの1つであったことが判ります。

      この点は,以下のようにリストを拡張して考えると判りやすいでしょう。 ここでは(4), (5), (6)を縦にして,それぞれ右に(1.1), (2.1)などと同様に 対応するPIやIPの項目を書き加えています。(白と緑がもともとのセル,オレンジが新しく書き加えたセルです。オレンジのセルは緑のセルとしてもともとあったものですが,Iの左右を入れ替えて表記しています。)

      (1.1) xPyPz (1.2) xPyIz (1.3) xIyPz
      (2.1) yPzPx (2.2) yPzIx (2.3) yIzPx
      (3.1) zPxPy (3.2) zPxIy (3.3) zIxPy
      (4) xPzPy (1.2)xPzIy (3.3)xIzPy
      (5) zPyPx (3.2)zPyIx (2.3)zIyPx
      (6) yPxPz (2.2) yPxIz (1.3) yIxPz
      (7) xIyIz    
    • (4), (5), (6)で始まる3行に着目すると,(5)と(1.2)と(1.3)が異なる行に分かれており,Ω+の要素であることが判りやすいと思います。

      (本件は,ここでは補足的な議論です。(4), (5), (6)を含む場合を考慮しなくてよい理由については,本ページの下の方でより包括的に議論します。)

  • (1.1)の他に,(1.2)を含み,(1.3)を含まない場合について
    • (1.1), (1.2)はともに「xが中間でも最悪でもない」点, 「yが最良でない」点,「zが最良でない」点で一致しています。 これらの点をすべて否定しないとVRが成立してしまいます。
    • 他の順序の選び方には,[2.1, 2.2, 2.3]のみから選ぶ場合と, [3.1, 3.2, 3.3]のみから選ぶ場合があります。
    • [2.1, 2.2, 2.3]のみから選ぶ場合,まずどうしても(2.3)が必要です。 (2.1)と(2.2)は,単体でも,組み合わせても,zが最良になりません。 一方,(2.3)があれば,xは最悪となり,yとzが最良になります。 しかし,「xが中間でない」点で一致している問題が残ります。 そこで,さらに(2.2)が必要です(代わりに(2.1)を使うと問題が解決しません)。以上によって,VRが成立しないことになります。
    • [3.1, 3.2, 3.3]のみから選ぶ場合には方法がありません。どのように組み合わせてもyを最良にすることができず,VRが成立してしまいます。
    • 以上より,(1.1), (1.2), (2.2), (2.3)として,(III)のケースが見出されました。
  • (1.1)の他に,(1.3)を含み,(1.2)を含まない場合について
    • (1.1), (1.3)は,「xが最悪でない」点,「yが最悪でない」点,「zが中間でも最良でない」点で一致しています。 これらの点をすべて否定しないとVRが成立してしまいます。
    • 他の順序の選び方には,[2.1, 2.2, 2.3]のみから選ぶ場合と, [3.1, 3.2, 3.3]のみから選ぶ場合があります。
    • [2.1, 2.2, 2.3]のみから選ぶ場合には方法がありません。どのように組み合わせてもyを最悪にすることができず,VRが成立してしまいます。
    • [3.1, 3.2, 3.3]のみから選ぶ場合,まずどうしても(3.2)が必要です。 (3.1)と(3.3)は,単体でも,組み合わせても,xが最悪になりません。 ですが,(3.2)があれば,xとyは最悪となり,zが最良になります。 ですが,「zが中間でない」点で一致している問題が残ります。 そこで,さらに(3.3)が必要です(代わりに(3.1)を使うと問題が解決しません)。以上によって,VRが成立しないことになります。
    • 以上より,(1.1), (1.3), (3.2), (3.3)の組み合わせとして,(IV)のケースが見出されました。
  • (1.1)の他に,(1.2)と(1.3)のいずれも含まない場合について
    • 他の順序の選び方には,[2.1, 2.2, 2.3]の全てを選ぶ場合と, [3.1, 3.2, 3.3]の全てを選ぶ場合があります。これ以上に付け加えられるよ順序はありません。
    • 1.1に加えて[2.1, 2.2, 2.3]の全てを選ぶ場合は,yが最悪でない問題が残り,VRが成立してしまいます。
    • 1.1に加えて[3.1, 3.2, 3.3]の全てを選ぶ場合は,yが最良でない問題が残り,VRが成立してしまいます。
    • 結局,(1.2)と(1.3)のいずれも含まない場合には,VRの成立を防ぐ組み合わせがありません。
  • 以上,(4), (5), (6)を含まないケースについて,確認を終了しました。
  • 最後に,もう一度以下の表を考え,(4), (5), (6)のいずれかを含むケースを考慮しなくてよいことを確認します。まず,(4), (5), (6)を同時に全て含むケースは考慮しなくてもよいでしょう(x, y, zを入れ替えれば(4), (5), (6)は(1.1), (2.1), (3.1)に相当しますので,そうした[1.1, 4, 5, 6]のような組み合わせはΩに含まれます。)そこで,(4), (5), (6)のいずれか1つが含まれるケース(3種類)と,いずれか2つが含まれるケース(3種類)を確認すれば十分です。

    (1.1) xPyPz (1.2) xPyIz (1.3) xIyPz
    (2.1) yPzPx (2.2) yPzIx (2.3) yIzPx
    (3.1) zPxPy (3.2) zPxIy (3.3) zIxPy
    (4) xPzPy (1.2)xPzIy (3.3)xIzPy
    (5) zPyPx (3.2)zPyIx (2.3)zIyPx
    (6) yPxPz (2.2) yPxIz (1.3) yIxPz
    (7) xIyIz    
    • (1.1)の他に(4)が含まれ,(5), (6)が含まれない場合
      • (1.1)xPyPzと(4)xPzPyから,xが中間でなく最悪でもないこと, yが最良でないこと,zが最良でないことで同意されています。そこでこれを崩さなくてはなりません。
      • 他の順序の選び方には,[1.2, 1.3]∪[2.1, 2.2, 2.3]のみから選ぶ場合と, [1.2, 1.3]∪[3.1, 3.2, 3.3]のみから選ぶ場合があります。
      • [1.2, 1.3]∪[2.1, 2.2, 2.3]のみから選ぶ場合,まずどうしても(2.3)が必要です。他の4順序(1.2), (1.3), (2.1), (2.2)は,単体でも,組み合わせても,zが最良になりません。 一方,(2.3)があれば,xは最悪となり,yとzが最良になります。 しかし,「xが中間でない」点で一致している問題が残ります。 そこで,さらに(1.3)か(2.2)が必要です(代わりに(1.2)か(2.1)を使うと問題が解決しません)。
      • そこで,[1.1, 2.2, 2.3, 4]か[1.1, 1.3, 2.3, 4]ということになります。
      • ですが,[1.1, 2.2, 2.3, 4]は,(4), (2.2), (2.3)の組み合わせが既にΩ+に入っていることが表で確認できます。(表の(4), (5), (6)の行で,これらが異なった行に含まれているためです。)
      • [1.1, 1.3, 2.3, 4]も,(4), (1.3), (2.3)の組み合わせが既にΩ+に入っていることが表で確認できます。(表の(4), (5), (6)の行で,これらが異なった行に含まれているためです。)
      • 一方,[1.2, 1.3]∪[3.1, 3.2, 3.3]のみから選ぶ場合には,まずどうしても(1.3)が必要です。他の4順序(1.2), (3.1), (3.2), (3.3)は,単体でも,組み合わせても,yが最良になりません。 一方,(1.3)があれば,xが中間となり,yが最良になります。 しかし,「xが最悪でない」点と「zが最良でない」点で一致している問題が残ります。xを最悪にするため(3.2)が必要です。またこのときzが最良になってVRが成立しません。
      • そこで,[1.1, 1.3, 3.2, 4]ということになりますが,(4), (1.3), (3.3)の組み合わせは,既にΩ+に入っていることが表で確認できます。(表の(4), (5), (6)の行で,これらが異なった行に含まれているためです。)
      • 以上より,(I), (II), (III), (IV)以外の新しい要素が見出されないことが確認できました。
    • (1.1)の他に(5)が含まれ,(4), (6)が含まれない場合
      • (1.1)xPyPzと(5)zPyPxから,xが中間でないこと, yが最良でも最悪でもないこと,zが中間でないことで同意されています。そこでこれを崩さなくてはなりません。
      • 他の順序の選び方には,[1.2, 1.3]∪[2.1, 2.2, 2.3]のみから選ぶ場合と, [1.2, 1.3]∪[3.1, 3.2, 3.3]のみから選ぶ場合があります。
      • ですが,[1.2, 1.3]∪[2.1, 2.2, 2.3]のみから選ぶ場合, まずどうしても(1.2)が必要です。他の4順序ではyが最悪になりません。 一方,(1.2)があれば,yが最悪になり,zが中間になります。 しかし,「xが中間でない」点と「yが最良でない」点で一致している問題が残ります。xを中間にするため(1.3)か(2.2)が必要です。またこのときyが最良になってVRが成立しません。
      • そこで,[1.1, 1.2, 1.3, 5]か[1.1, 1.2, 2.2, 5]ということになります。
      • ですが,[1.1, 1.2, 1.3, 5]は,(5), (1.2), (1.3)の組み合わせが既にΩ+に入っていることが表で確認できます。(表の(4), (5), (6)の行で,これらが異なった行に含まれているためです。)
      • [1.1, 1.2, 2.2, 5]も,(5), (1.2), (2.2)の組み合わせが既にΩ+に入っていることが表で確認できます。(表の(4), (5), (6)の行で,これらが異なった行に含まれているためです。)
      • [1.2, 1.3]∪[3.1, 3.2, 3.3]のみから選ぶ場合,まずどうしても(1.3)が必要です。他の4順序ではyが最良になりません。 一方,(1.3)があれば,xが中間になり,yが最良になります。 しかし,「yが最悪でない」点と「zが中間でない」点で一致している問題が残ります。zを中間にするため(1.2)か(3.3)が必要です。またこのときyが最悪になってVRが成立しません。
      • そこで,[1.1, 1.2, 1.3, 5]か[1.1, 1.2, 3.3, 5]ということになりますが,前者はすでに検討済みで,Ω+に含まれるのでした。
      • 残る[1.1, 1.3, 3.3, 5]も,(5), (1.3), (3.3)の組み合わせが既にΩ+に入っていることが表で確認できます。(表の(4), (5), (6)の行で,これらが異なった行に含まれているためです。)
      • 以上より,(I), (II), (III), (IV)以外の新しい要素が見出されないことが確認できました。
    • (1.1)の他に(6)が含まれ,(4), (5)が含まれない場合
      • (1.1)xPyPzと(6)yPxPzから,xが最悪でないこと, yが最悪でないこと,zが最良でも中間でもないことで同意されています。そこでこれを崩さなくてはなりません。
      • 他の順序の選び方には,[1.2, 1.3]∪[2.1, 2.2, 2.3]のみから選ぶ場合と, [1.2, 1.3]∪[3.1, 3.2, 3.3]のみから選ぶ場合があります。
      • [1.2, 1.3]∪[2.1, 2.2, 2.3]のみから選ぶ場合,まずどうしても(1.2)が必要です。他の4順序は,単体でも,組み合わせても,yが最悪になりません。 一方,(1.2)があれば,yは最悪になり,zは中間になります。 しかし,「xが最悪でない」点と「zが最良でない」で一致している問題が残ります。zを最良にするため,(2.3)が必要です。また,このとき,xが最悪になってVRが成立しません。
      • そこで,[1.1, 1.2, 2.3, 6]ということになります。
      • ですが,[1.1, 1.2, 2.3, 6]は,(6), (1.2), (2.3)の組み合わせが既にΩ+に入っていることが表で確認できます。(表の(4), (5), (6)の行で,これらが異なった行に含まれているためです。)
      • [1.2, 1.3]∪[3.1, 3.2, 3.3]のみから選ぶ場合,まずどうしても(3.2)が必要です。 他の4順序は,単体でも,組み合わせても,xが最悪になりません。 一方で,(3.2)があれば,xとyは最悪となり,zが最良になります。 ですが,「zが中間でない」点で一致している問題が残ります。 そこで,さらに(1.2)か(3.3)が必要です。
      • そこで,[1.1, 1.2, 3.2, 6]か[1.1, 3.2, 3.3, 6]ということになります。
      • ですが,[1.1, 1.2, 3.2, 6]は,(6), (1.2), (3.2)の組み合わせが既にΩ+に入っていることが表で確認できます。(表の(4), (5), (6)の行で,これらが異なった行に含まれているためです。)
      • [1.1, 3.2, 3.3, 6]も,(6), (3.2), (3.3)の組み合わせが既にΩ+に入っていることが表で確認できます。(表の(4), (5), (6)の行で,これらが異なった行に含まれているためです。)
      • 以上より,(I), (II), (III), (IV)以外の新しい要素が見出されないことが確認できました。
    • (1.1)の他に(4)と(5)が含まれ,(6)が含まれない場合
      • (1.1)xPyPzと(4)xPzPyと(5)zPyPxから,xが中間でないこと, yが最良でないことで同意されています。そこでこれを崩さなくてはなりません。
      • 他の順序の選び方には,[1.2, 1.3]∪[2.1, 2.2, 2.3]のみから選ぶ場合と, [1.2, 1.3]∪[3.1, 3.2, 3.3]のみから選ぶ場合があります。
      • [1.2, 1.3]∪[2.1, 2.2, 2.3]のみから選ぶ場合,まずどうしても(1.3)か(2.2)が必要です。 他は,xが中間になりません。 一方で,(1.3)があれば,xは中間になり,yが最良になるため,VRが成立しません。
      • そこで,[1.1, 1.3, 4, 5]か[1.1, 2.2, 4, 5]ということになります。
      • ですが,[1.1, 1.3, 4, 5]は,(4), (5), (1.3)の組み合わせが既にΩ+に入っていることが表で確認できます。(表の(4), (5), (6)の行で,これらが異なった行に含まれているためです。)
      • [1.1, 2.2, 4, 5]も,(4), (5), (2.2)の組み合わせが既にΩ+に入っていることが表で確認できます。(表の(4), (5), (6)の行で,これらが異なった行に含まれているためです。)
      • [1.2, 1.3]∪[3.1, 3.2, 3.3]のみから選ぶ場合,まずどうしても(1.3)が必要です。 他の4順序は,単体でも,組み合わせても,yが最良になりません。 一方で,(1.3)があれば,xが中間になり,yが最良になるので,VRが成立しません。
      • そこで,[1.1, 1.3, 4, 5]ということになりますが,この点はすでに検討ずみでした。
      • 以上より,(I), (II), (III), (IV)以外の新しい要素が見出されないことが確認できました。
    • (1.1)の他に(5)と(6)が含まれ,(4)が含まれない場合
      • (1.1)xPyPzと(5)zPyPxと(6)yPxPzから, yが最悪でないこと,zが中間でないことで同意されています。そこでこれを崩さなくてはなりません。
      • 他の順序の選び方には,[1.2, 1.3]∪[2.1, 2.2, 2.3]のみから選ぶ場合と, [1.2, 1.3]∪[3.1, 3.2, 3.3]のみから選ぶ場合があります。
      • [1.2, 1.3]∪[2.1, 2.2, 2.3]のみから選ぶ場合, まずどうしても(1.2)が必要です。 他の4順序は,単体でも,組み合わせても,yが最悪になりません。 一方で,(1.2)があれば,yは最悪となり,zは中間になります。
      • そこで,[1.1, 1.2, 5, 6]ということになりますが, (5), (6), (1.2)の組み合わせは,既にΩ+に入っていることが表で確認できます。(表の(4), (5), (6)の行で,これらが異なった行に含まれているためです。)
      • [1.2, 1.3]∪[3.1, 3.2, 3.3]のみから選ぶ場合, まずどうしても(1.2)か(3.3)が必要です。 他の4順序は,単体でも,組み合わせても,zが中間になりません。 また,このときyが最悪になっており,VRが成立しません。
      • そこで,[1.1, 1.2, 5, 6]か[1.1, 3.3, 5, 6]ということになります。
      • ですが,[1.1, 1.2, 5, 6]は,(本HPの3項目前でも見たように),(5), (6), (1.2)の組み合わせが既にΩ+に入っていることが表で確認できます。(表の(4), (5), (6)の行で,これらが異なった行に含まれているためです。)
      • [1.1, 3.3, 5, 6]も,(5), (6), (3.3)の組み合わせが既にΩ+に入っていることが表で確認できます。(表の(4), (5), (6)の行で,これらが異なった行に含まれているためです。)
      • 以上より,(I), (II), (III), (IV)以外の新しい要素が見出されないことが確認できました。
    • (1.1)の他に(6)と(4)が含まれ,(5)が含まれない場合
      • (1.1)xPyPzと(6)yPxPzと(4)xPzPyから, xが最悪でないこと,zが最良でないことで同意されています。そこでこれを崩さなくてはなりません。
      • 他の順序の選び方には,[1.2, 1.3]∪[2.1, 2.2, 2.3]のみから選ぶ場合と, [1.2, 1.3]∪[3.1, 3.2, 3.3]のみから選ぶ場合があります。
      • [1.2, 1.3]∪[2.1, 2.2, 2.3]のみから選ぶ場合,まずどうしても(2.3)が必要です。他は,zが最良になりません。 一方で,(2.3)があれば,xは最悪になり,zが最良になるため,VRが成立しません。
      • そこで,[1.1, 2.3, 4, 6]ということになりますが,[1.1, 2.3, 4, 6]は,(4), (6), (2.3)の組み合わせが既にΩ+に入っていることが表で確認できます。(表の(4), (5), (6)の行で,これらが異なった行に含まれているためです。)
      • [1.2, 1.3]∪[3.1, 3.2, 3.3]のみから選ぶ場合,まずどうしても(3.2)が必要です。 他の4順序は,単体でも,組み合わせても,xが最悪になりません。 一方で,(3.2)があれば,xが最悪になり,zが最良になるので,VRが成立しません。
      • そこで,[1.1, 3.2, 4, 6]ということになりますが,[1.1, 3.2, 4, 6]は,(4), (6), (3.2)の組み合わせが既にΩ+に入っていることが表で確認できます。(表の(4), (5), (6)の行で,これらが異なった行に含まれているためです。)
      • 以上より,(I), (II), (III), (IV)以外の新しい要素が見出されないことが確認できました。
    • 以上より,6ケースの全てについて,(I), (II), (III), (IV)以外の新しい要素が見出されないことが確認できました。(4), (5), (6)を含めても新しい要素を得ることができないことが確認されました。
  • 以下,LAの条件を満たさないようにする中で,結局Ωの要素に収まる議論は書籍の通りでよいでしょう。ただし,Ω+から除いた[1.1, 2.2, 3.3]のケースについては,後ほど議論を補いたいと思います。





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  • 本ホームページは,Amartya Sen先生の『集合的選択と社会的厚生』(日本語版, 勁草書房)の 特定の記述項目について,読む上でのポイントを考えるものです。
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[2015年7月15日 初版をアップ](最終アップデート:2015年10月17日)

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