アマルティア・センの『集合的選択と社会的厚生』を開く

II.読解のポイントを探る 【P.208, L.9】

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検討項目

位置 検討する部分 種別 訂正案, コメント
P.208 L.9 (定義10*3について) X (→詳細

関連項目

位置 検討する部分 種別 訂正案, コメント
P.208 L.11 選択肢となることである。 Y1 選択肢となり,また逆が成立することである。



  • まず,x, y, zの間に生じうる13種類の順序について, (p.210の補題10*bの証明と同様に,添字のjを省略して)次のように表記することにします。 これは便宜上の理由からです。
    • (1.1) xPyPz (1.2) xPyIz (1.3) xIyPz
    • (2.1) yPzPx (2.2) yPzIx (2.3) yIzPx
    • (3.1) zPxPy (3.2) zPxIy (3.3) zIxPy
    • (4) xPzPy (5) zPyPx (6) yPxPz
    • (7) xIyIz
  • 定義式の右辺には,(∀j: zPjx →zPjy & yPjx)とあります。この青字の部分に対応するのは,以下の項目です。
    • (1.1) xPyPz (1.2) xPyIz (1.3) xIyPz
    • (2.1) yPzPx (2.2) yPzIx (2.3) yIzPx
    • (3.1) zPxPy (3.2) zPxIy (3.3) zIxPy
    • (4) xPzPy (5) zPyPx (6) yPxPz
    • (7) xIyIz
  • この青字の中で,zPjy & yPjxが成立しているのは,下記で下線のついた(5)のみです。
    • (1.1) xPyPz (1.2) xPyIz (1.3) xIyPz
    • (2.1) yPzPx (2.2) yPzIx (2.3) yIzPx
    • (3.1) zPxPy (3.2) zPxIy (3.3) zIxPy
    • (4) xPzPy (5) zPyPx (6) yPxPz
    • (7) xIyIz
  • つまり,この定義の右辺は,以下の赤字の順序が存在し得ないことを主張していることになります。
    • (1.1) xPyPz (1.2) xPyIz (1.3) xIyPz
    • (2.1) yPzPx (2.2) yPzIx (2.3) yIzPx
    • (3.1) zPxPy (3.2) zPxIy (3.3) zIxPy
    • (4) xPzPy (5) zPyPx (6) yPxPz
    • (7) xIyIz
  • このとき,zを唯一最良の選択肢とみなすのは(5)のケースのみで, その場合はxが唯一の最悪な選択肢となります。
  • 逆に,xが唯一の最悪な選択肢となるのも(5)のケースのみで, その場合はzが唯一の最良の選択肢となります。





本ページの概要とお願い:
  • 本ホームページは,Amartya Sen先生の『集合的選択と社会的厚生』(日本語版, 勁草書房)の 特定の記述項目について,読む上でのポイントを考えるものです。
  • 本ホームページの主旨や注意などについては,こちら(「読解のポイントを探る」項目リストページ)をご覧下さい。




[2015年7月13日 初版をアップ](最終アップデート 2015年7月15日)

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