アマルティア・センの『集合的選択と社会的厚生』を開く

II.読解のポイントを探る 【p.38 L.3】

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検討項目

位置 検討する部分 種別 訂正案, コメント
P.38 L.3 同様に..(中略)..どれかを要請することによって同じことが可能である。逆向きの条件は必要ない。 Y1 あるいは,逆向きの意味を除いて,単に..(3つの数式)..といった要請をしてみてもよい。



  • 該当部分の原文は, We can, alternatively, merely require that x#Ry → xRy, or that x#Py→xPy, or that x#Iy→xIy, without the converse implication. となっています(#は上のバーの代わりに使いました)。
  • そこで,反対向きの矢印を除いて,単にこんなことを要求してみてもよい,といった程度のニュアンスかと思われます。例えばx#Ry→xRyであれば,xRyの詳細は不明だけれども,とにかくx#RyのときはxRyということにするということです。
  • ここで和文を「同じことが可能である」とすると,前の部分とのつながりから「集合的選択ルールを導くことができる」(集合的選択ルールの定義)と読めてしまう心配があります。
  • 今回は⇔でなく→ですから,集合的選択ルールの定義ではなく,集合的選択ルールの条件といった程度のものと思われます。(つづく「ルールそのものというよりは,集合的選択ルールの条件である」という表現の意味もそのように理解してよいかと思います。)
  • 集合的選択ルールを「定義」するためにはxRyの意味を確定させる必要があります。つまり,「xRy⇔...」の...の部分を確定させる必要があります。(訳書のP.39の下部の議論も参考になります。)





本ページの概要とお願い:
  • 本ホームページは,Amartya Sen先生の『集合的選択と社会的厚生』(日本語版, 勁草書房)の 特定の記述項目について,読む上でのポイントを考えるものです。
  • 本ホームページの主旨や注意などについては,こちら(「読解のポイントを探る」項目リストページ)をご覧下さい。




[2013年7月23日 初版をアップ]


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