検討項目
位置 |
検討する部分 |
種別 |
訂正案, コメント |
P.3 L.3 |
母国をロマンティックに美化して歌い上げることと,社会にかんする恣意的な目的関数を最適化すること |
Y3 |
抽象的な母国(motherland)のロマンティックな歌々を歌うことと,社会にかんする恣意的な目的関数で最適化作業をすること |
- 「母国をロマンティックに美化して歌い上げること」の部分は,
原文では"singing romantic songs about an abstract motherland"です。基本的には,「抽象的な母国についてのロマンティックな歌を歌うこと」と訳せる表現だと思います。
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現在の「美化して歌いあげる」という表現は,
"abstract"を「現実をはなれるほどに理想的に思い描いて」あるいは「理念としての
国家を思い描いて」というように踏み込んで訳したものと思われます。
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それは一理あるのですが,
この「抽象的な母国」の「抽象」(abstract)の表現は,
第2段落の4行目と脚注1の3行目にある2つの「抽象」(abstract)の表現と呼応しているなど,文脈を確認する上で重要です。この観点から,変更せずそのままに訳すのがよいと思います。
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「社会にかんする恣意的な目的関数を最適化すること」の部分は,
原文では"doing optimization exercises with an arbitrary objective function for a society"です。基本的には,「社会にかんする目的関数を用いて最適化作業をすること」と訳せる表現だと思います。
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現在の「目的関数を最適化すること」は,
やや簡略化された表現で,
目的関数の構造自体を最適化するようにも読めてしまう問題が
あると思います。そのまま
「目的関数を用いて最適化作業をすること」とする方がよいかと思います。
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"with an arbitrary objective function"の"with"を「に関して」と訳す案もあるかもしれませんが,
「目的関数を用いて最適化作業をする」というのはありがちな表現と思われますので,ここは普通に「を用いて」としてよいかと思います。
また冒頭段落を離れますが,本書では書籍全体としてパレート原理の恣意性の問題を検討しており,
パレート原理に過度に依存することを問題視する文脈に立っています。
最終的に振り返ると,"doing optimization exercises with an arbitrary objective function"は,
この本書の文脈を反映した表現で,
様々な問題に一様にパレート内包的な目的関数を適用して
答えを出そうとしていくアプローチを問題視しているものと思われます。この観点からも「を用いて」の訳の方が自然かと思います。
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以上から,第一の修正案として以下を考えました。
「抽象的な母国についてのロマンティックな歌を歌うことと,社会にかんする恣意的な目的関数を用いて最適化作業をすること」
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続けて,少しアレンジを加えたものが以下の文案です。
「抽象的な母国(motherland)のロマンティックな歌々を歌うことと,社会にかんする恣意的な目的関数で最適化作業をすること」
- 「母国」だけではmotherlandのニュアンスを残しきれないものと思われたので,(motherland)を加えました。
- 「歌」(songs)の複数形を表現するために「歌々」としてみました。(「作業」を複数形で表現する点は,とりあえず諦めました。)
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[2011年8月22日 初版をアップ](最終アップデート:2013年6月27日)
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